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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2010/04/02

土器に格子文を探すと

 
格子文や石畳文が土器にあったかどうか気になってきた。

編み細工と建物の装飾のある二連石製容器 イラン、スーサ出土 前2500年頃 緑泥石 高さ6.2㎝長さ18.5㎝ ルーヴル美術館蔵
『メソポタミア文明展図録』は、外面全体の薄い浮彫の装飾はきわめて数が多い。最も一般的なのは様式化したモチーフで、それらは渦巻きや鱗、煉瓦、そしてここで見られるような筵のような編み細工、および戸と窓に木を組んだような菱格子の装飾のある木造(に違いない)家などである。
いくつか工房が存在したが、最も著名なのはテペ・ヤヒャの工房で、アッカド語で「マルフシュ」と呼ばれた緑泥石の大鉱床のあるイラン南東にあった。この石製容器がその工房の作品であることはほぼ確実であり、スーサでの出土は、この異国産品の広い普及を物語っている
という。
土器ではなく石製。籠などを網代に編むとできる文様は格子状だが編み上がりは斜めだ。日常見られるものを写すと、自然に斜めの文様になるのだろうか。 台付坏 イラン、カズヴィン出土 後期銅石器時代(前4千年紀後半) 径10.8㎝高18.4㎝ 岡山市立オリエント美術館蔵
ホームページの解説は、表面はクリーム色の化粧土上に黒い水平の彩文が施されている。口縁部分も彩文されている。胴部中央部にはパネル文があるという。
縦横に並ぶ格子文があった。縦横交互に四角の中を塗りつぶすと、市松文様または石畳文と呼ばれる文様になる。パネル文という名称があるのか。 山羊流水彩文坏 イラン、伝テペ・シアルク出土 後期銅石器時代(前4千年紀後半) 口径13.8㎝高11.7㎝ 岡山市立オリエント美術館蔵 
表面は白い化粧土上に黒い彩文が施され、上部には雄山羊、下部には格子状の文様がみえる。山羊は角を大きく前に伸している。尾は先端が波状文になっている。ロクロ製という。
ほぼ格子文だが、塗りつぶした四角を斜めに並べている。斜めというのは安定感があるのだろうか。 「櫛の形の動物」とギリシャ十字の装飾のある小鉢 スーサ、アクロポリス出土 スーサ1期、前4000年頃 彩文土器 高さ6.3㎝直径13.2㎝ ルーヴル美術館蔵 
「メソポタミア文明展図録」は、鉢の中央にギリシャ十字が見える。太い線が2つの左右対称の半円空間を区切り、格子縞の菱形と波形モチーフを載せた「櫛の形の動物」は種類は特定できないが、おそらくふさふさした毛をもつ動物の極度に様式化した表現であろうという。
菱形の石畳文があった。  矢羽十字、格子縞、矢筒の装飾のある鉢 スーサ、アクロポリス出土 スーサ1期、前4000年頃 彩文土器 高さ9.8㎝直径22㎝ ルーヴル美術館蔵 
この鉢は焼成で変形している。中央に矢羽十字が見える。前の例と同様、太線が半円空間を区切る。そこには格子縞があり、三角モチーフと組み合わされているという。
細かい石畳文がすでにこの時代にあった。 高坏 イラン、イスマイラバード出土 前4500年頃 岡山市立オリエント美術館蔵
菱形を間隔をあけて並べている。目の粗い籠を反転させて穴だけ描いたような感じがする。  石畳文は古くから見られるが、菱格子文の方が古くから、また多く見られた。
ウルクのクレイペグ装飾壁(前3500年頃)と同年代の土器を見つけることができなかった。当時のスーサはメソポタミアの一地域といってもよい地域であるが、他の地域はウルクとはかなり離れているので、これだけで決めてしまうことはできない。
しかし、ウルクの人々は石畳文よりも斜めの線で表した文様を好んだというよりも、クレイペグの円形の頭を斜めに並べるとできる文様をいろいろと作り出したように思う。

※参考文献
「世界四大文明メソポタミア文明展図録」(2000年 NHK)
「岡山市立オリエント美術館館蔵品図録」(1991年 岡山市立オリエント美術館)

※参考サイト
岡山市立オリエント美術館の収蔵品検索-土器
同館の館蔵品図録には解説がないため、ホームページの解説を参考にしました。