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忘れへんうちに 旅編では、イスタンブールで訪れたところを長々と記事にしています。その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2015/06/26

シャーヒ・ズィンダ廟群の浮彫タイル1



シャーヒ・ズィンダ廟群では、浮彫タイルの素晴らしさに目を奪われた。

12 アミール・ザーデ廟 AMIRZADE MAUSOLEUM 1386年
イーワーン両側の壁面には、白い八点星にトルコ・ブルーの突起を連ねた細い文様帯と、八弁花文を並べたものが浮彫タイルだ。
特に八弁花文は中心に花文を置き、周囲にトルコ・ブルーの細かな植物文、外側にはコバルト・ブルーの植物文が、細かな透彫にさえ見えるほどに深く文様が刻まれている。
玄関の扉を囲む装飾帯も浮彫タイルではあるが、他のものと比べると技法的に優れているとは思えない。それよりも、扉に接する細い蔓草文の浮彫タイルの方が細かくて彫りが深い。

13 トグル・テキン廟 TUGLU TEKIN MAUSOLEUM 1376年
中央はアミール・ザーデ廟と同じ丸い突起のある浮彫タイルの文様帯かと思っていたが、こちらの方が細工が細かい。コバルト・ブルーの丸い突起のある白い八弁花文の四方にはコバルト・ブルーの植物文が浮彫で表されていた。
アラビア文字の白い銘文は、複雑にからみ合う蔓草文を地にしている。
玄関両脇にも浮彫タイルが使われている。
左から、鋸歯文の変形のようなものが輪郭を白色にして、コバルト・ブルーとトルコ・ブルーの浮彫タイル。3/4付け柱はその上下の装飾も含めて浮彫タイル。特に円柱部分は蔓草文が左右対称に続いて優美。
その内側にも植物文がコバルト・ブルーの浮彫タイル、玄関扉の周囲にも水色のアラビア文字の銘文が、トルコ・ブルーの植物文を地にして表されている。
玄関上のコバルト・ブルーの六角形と白い三角形で構成されたリュネットの上に蠢くような文様も浮彫タイルだろう。

14 シャディ・ムルク・アガ廟 SHODI MULK OKO MAUSOEUM 1372年
玄関両脇の壁面
両端には付け柱やそれを支えるものが立体的に作られている。このような平面でないタイルを「異形タイル」と呼ぶらしい(『砂漠にもえたつ色彩』より)。
端の付け柱
円柱部分はチューリップを横から見たような花や四弁花文・六弁花文などが蔓草でつなぎ合わされている。
その下のムカルナス状の花弁も浮彫タイル。
更に下にも表現できないほど複雑な蔓草文が深く深く彫り込まれている。
玄関両脇の付け柱には別の蔓草文、それに続く凹状の面には白でアラビア文字、トルコ・ブルーで蔓草文が表される。これが透彫でないとは。

14世紀後半に、浮彫タイルはすでに完成した技術である。これもペルシアから伝わったのだろうか?
 
                        →浮彫タイルは浮き出しタイルとは別物

関連項目
ホジャ・アフマド廟以前の浮彫青釉タイル
浮彫タイルの起源はサーマーン朝?
ハフト・ランギーの起源は浮彫タイル
浮彫施釉タイルの起源は漆喰装飾や浮彫焼成レンガ
シャーヒ・ズィンダ廟群3 アミール・ザーデ廟
シャーヒ・ズィンダ廟群4 トグル・テキン廟
シャーヒ・ズィンダ廟群5 シャディ・ムルク・アガ廟

※参考文献
「中央アジアの傑作 サマルカンド」 アラポフ A.V. 2008年 SMI・アジア出版社 

「砂漠にもえたつ色彩 中近東5000年のタイル・デザイン展図録」 2003年 岡山市立オリエント美術館