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忘れへんうちに 旅編に、中央アジア各地の旅に続いて、イランの旅を記載し始めました。
その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2017/02/28

ワラフシャ宮殿の出土物 ウズベキスタン歴史博物館と国立美術館より


ウズベキスタン歴史博物館のソグドの壁画はブハラ州ワラフシャの6-7世紀の複製だった。
『中央アジアの傑作ブハラ』は、イスラム教が入って来る以前、ザラフシャン川の前領域はブハラ(ソグド語のブハラック-幸福な場所)と呼ばれていた。エフタル、その後トルコ系の人々は、貢物を集めながらブハラ人の商売を支援していた。8世紀にブハラの公国同盟が設立され、それにパイケンド、ヴァルダナ、カルマナが加盟した。その同盟の支配者は、ブハラ要塞に公邸を持つ、中国の唐王朝の臣下のブハル・フダットであった。当時、この都市は35haの面積を持ち、強力な壁で囲まれていた。ブハル・フダットの夏の宮殿は、ワラフシャにあったという。
時代としてはブハル・フダットよりも以前の領主の宮殿ということかな。国立美術館の出土物の説明にブハル・フダット宮殿、7世紀となってたが。
宮殿の赤の間を飾ったものだったという。
この復元図が実際の遺構の平面を元にしたものだったら、長方形の部屋にラテルネンデッケの天井が架かっていたことになる。

最下段、王の玉座の後ろを飾っていた図(部分)
有翼の怪獣に弓をかまえる戦士(下の図と上の想像復元図とが繋がっていないような)

象に乗る2人と戦う2頭の豹
豹に比べて象が小さすぎるのでは。
象に掛けた敷物に連珠円文がある。サマルカンド、アフラシアブの宮殿から出土した象の敷物にも連珠円文があるが、文様の置き方がそれぞれに違っていて面白い。
中段で行進する動物の肢。上段にはラクダの姿は残っていない。

やはり象に乗る二人に襲い掛かる2頭の豹。
中段の動物の肢が見えている。
このような図について『STATE MUSEUM OF THE HISTORY OF UZBEKISTAN』は、想像上の怪物たちと象に乗った者たちの闘いである。当時この地で影響力を持っていたゾロアスター教の善と悪の絶え間のない戦いを表しているという。
とはいえ、どの図も象の上の2人は豹に槍や短剣を突き刺している。最終的には善が勝利するという壁画のよう。
実は、壁画の実物のこの部分だけが国立美術館で展示されていた。

7世紀 粘土・染料 国立美術館蔵 
象を実際に見たことがないのか、人間と比べても小さい。
象の上の2人
左の豹
上半身の表現が実在の動物らしくない。
豹と左の人物
豹が襲い掛かろうとした瞬間に短剣で刺されている。
左の人物
赤い下書きよりも大きめに描いている。
右の人物
王を示すリボンが両方向に舞い上がっているが、王と思われる人物は冷静に豹を細い槍で突いている。
右の豹は逃げようとして突かれたのかな。

パルメット文の建築装飾 6-7世紀 歴史博物館蔵
まるでアールデコのデザインのよう
宝相華文の建築装飾 6-7世紀 歴史博物館蔵
ソグドで始まったとされる大きな連珠円文に、中国っぽい宝相華文が入り込んでいる。
生命の樹の建築装飾 6-7世紀 歴史博物館蔵
上の2点とは全く異なる幾何学的ではない意匠もあったのだ

女人面の鳥の建築装飾 6-7世紀 歴史博物館蔵
迦陵頻伽とも違う
龍の建築装飾 6-7世紀 歴史博物館蔵
これが龍だったかどうか。壁画に登場した人と闘う怪獣かも。
建築装飾断片 6-7世紀 歴史博物館蔵
髭をたくわえた男性や頭光らしきもののある人物。それに三つ巴だったような魚。

円形の建築装飾 6-7世紀 歴史博物館蔵
やはりパルメットかな。型押しだろうが、文様が整然と並ぶ。
ヤマウズラの行進 6-7世紀 歴史博物館蔵

ヤマウズラの行進(拡大した画像を合成) 7世紀 浮彫 国立美術館蔵
上の作品よりも浅浮彫に作られている。

狩猟図の建築装飾 6-7世紀 歴史博物館蔵
オオツノヒツジのつがい。近くの雌よりも、角の立派な雄を狙って、仕留めた瞬間
出土したのが宮殿と特定されていないので、王と断定できない。
馬もオオツノヒツジも、疾駆する肢が丸彫りになっている。

有翼の馬胴部 7世紀 アラバスター
鞍を覆う敷物の表現が上の浮彫とよく似ている。

男性胴部 7世紀 アラバスター
胸には瓔珞のようなものがたくさん付いた衣装、左肩?には花弁状の肩覆いのある鎧?を着けているのかな。

女性立像 6-7世紀 歴史博物館蔵
柔らかな着衣の襞は優美。膝の丸みが強調されているのが面白い。

国立美術館二階の暗い通路の壁に掛かっていたのは、3つの浮彫装飾のパネルだった。仕方のないことだが、どれも断片の寄せ集めである。それはワラフシャ宮殿の出土物だった。彩色されているように見えるが、照明によるもの。

浮彫装飾 7世紀 アラバスター ブハル・フダットの宮殿出土
左上が人物だとわかる程度。下の方には水の流れのようなものが。
左端は樹木、その右上にブドウの葉や実。
右上に人物、下は花を付けた植物のよう。
左の樹木
右下の植物は、花ではなく反り返った葉先だった。

植物、人物の顔、装飾文様など
左の樹木も葉を付けている。
最下段2つ目
丸い枠内いっぱいに開化した花を見下ろしたロゼット文とその縁にギザギザの葉文がある。連珠円文ではない文様帯

こちらは連珠円文
連珠円文の中の大輪の花はキク科のよう。葡萄唐草が入り込んでいる。

『STATE MUSEUM OF THE HISTORY OF UZBEKISTAN』は、ソグドの記念碑として知られているワラフシャは、ブハラから40㎞ほど北西のキジルクム砂漠にある。6-7世紀に肥沃なオアシスの統治者の住居であったという。
ワラフシャ宮殿は今ではこのような遺構が残っているだけ。

ブハラのアルク内の博物館にもワラフシャ宮殿に描かれた、ゾロアスター教の儀式の壁画があった。


関連項目
ササン朝の首のリボンはゾロアスター教
ソグド人の納骨器、オッスアリ
連珠円文は7世紀に流行した
サマルカンド歴史博物館1 ソグドの人々の暮らし

参考文献
「STATE MUSEUM OF THE HISTORY OF UZBEKISTAN」 2013年 PREMIER PRINT
「偉大なるシルクロードの遺産展図録」 2005年 株式会社キュレイターズ
「中央アジアの傑作 ブハラ」 SANAT 2006年