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忘れへんうちに 旅編に、中央アジア各地の旅に続いて、イランの旅を記載し始めました。
その中で興味のある事柄については、詳しくこちらに記事にします。

2017/04/21

マスジェデ・ジャーメ 南ドーム室


イスファハーンのマスジェデ・ジャーメにはキブラ方向の南東に大ドームがあるが、ここでは南ドームとする。中庭側からは、イーワーンが大きいために、全貌を見るのは困難だ。
ユネスコの世界遺産マスジェデ・ジャーメのページでは、リブを駆使したイスラーム世界初の二重殻ドームという。
平面図では東西の礼拝室に繋がる通路が2つずつ、イーワーンからの通路が1つあるように見える。

正方形→八角形→十六角形→円→ドームと移行させていくが、ドームには4本のリブが放射状に通して補強されている。
ドームには星のような、金色にも思える輝きを感じた。
金箔かどうか、できるだけズームして写して、やっと1枚だけピントが合った。
それは焼成レンガの凹凸で作った十字の文様だった。

『ペルシア建築』は、インスクリプションが語るところによれば、広間はニザーム・ウル・ムルクの命にもとづき、マリク・シャーの治世の初期(1072年以降、たぶん1075年以前)に建設されたという。
この広間-宏壮で気品があり侵しがたい威厳をもつ主礼拝室-は直径15.2mという巨大なドームをいただくが、その場合、ドームを支えるために彫りの深い三ツ葉形のスクインチ(この形はヤズドにあるブワイフ朝時代のダワズダー・イマーム廟のスクインチから発展したもの)が使われている
という。

高さは20mほどあるらしい。
イスファハーンの次ぎにヤズドを訪問する。果たしてダワズダー・イマーム廟は見学できるだろうか。
それにしても、ブハラのサーマーン廟(913-43年)の移行部と比べると、複雑に構成されている。
深い三葉形のスキンチにもレンガの凹凸で水玉のような文様があるこのスキンチの中には幾つムカルナスがあると考えればよいのだろう。左右に大きなものが2つ、中央に小さなものが2つ。その下にはアーチ形の浅い壁龕が穿たれているが、これも補強のためのものかな。
直下より見上げる。右のムカルナスで、レンガの凹凸で文様をつくっているのがわかる。

西壁
同書は、しかし実際には、もっと古い構造体の一部が現在も見えているので、広間の下半の部分だけは10世紀末までさかのぼる可能性が強い。
スクインチをさらに下方で支えているのは円形断面の堂々たるピアであるが、このピアは、上端部分がアッバース朝風の唐草文様を表わすスタッコ浮彫で装飾されており、確実にドームよりも古い時代のものと言えるのである
という。

2つの通路の間には、ピアが2本ずつ、そしてその間は壁面となって閉じられている。
南壁
浅い壁龕はミフラーブの両側にあるが、左右対称ということもない。別の時代に造られたもののよう。美しいとは言えないが、何とも味わい深い壁だ。
東壁にもピアが2本ずつある。確かにピアの上には、同じ高さに板状のものがあり、その上は矩形の壁体になっている。
西壁とは異なり、2本ずつのピアは壁画で繋がっていない。そして、その隙間から、2本ずつだと思っていたピアは、実際には奥にも2本、合計4本で大ドームを支えているのだった。
北東隅。
ここにあるピアもすべて、2X2で一束になっている。
北西から西壁
ここも2X2で一束になっている。大ドームは巨大な円柱(ピア)32本とキブラ壁で支えられているのだった。その自分の知識を超えた建築に圧倒されてしまった。この後で見学した、イランで最も美しいと言われているオルジャイトゥ(ウルジェイトゥ)の作った浮彫漆喰のミフラーブや、誰もが美しいと絶賛するゴンバデ・ハーキ(北ドーム)さえ、私の記憶では薄い存在になっていたほどだ。
西側の38ドーミカル・ヴォールトの東壁に柱が1本、19の東壁に柱が2本露出していたのは、ドーム室北西隅外側のピアだったのだ。
大理石の腰板はその荷重を支えてはおらず、ただの化粧板。
東壁北側のピア
銘文らしい。
これがアッバース朝風の唐草文様を浮彫したストゥッコ(漆喰)装飾
西壁北通路でも確認できた。

ミフラーブを飾るモザイクタイルは、ドーム創建時にはまだなかった装飾技法である。
『砂漠にもえたつ色彩展図録』で深見奈緒子氏は、シャーヒ・ズィンダーにイランで熟成した植物文のモザイクタイルが出現するのは1372年建立のシーリーン・ビカー・アガー廟が最初であるという。
1372年(『中央アジアの傑作サマルカンド』は1385-86年とする)以前のものかな?


マスジェデ・ジャーメ、南東礼拝室のドーミカル・ヴォールト

関連項目
ウズベキスタンの真珠サーマーン廟2 内部も美しい

※参考サイト
ユネスコの世界遺産マスジェデ・ジャーメのページ

※参考文献
SD選書169「ペルシア建築」 A.U.ポープ 石井昭訳 1981年 鹿島出版会
「GANJNAMEH7 CONREGATIONAL MOSQUES」 1999年
「砂漠にもえたつ色彩 中近東5000年のタイル・デザイン展図録」 2001年 岡山市立オリエント美術館